在宅医療からの廃棄物の適正処理 |
要介護高齢者のCAPD、療養における廃棄物処理の実態調査を事例的に行い、適正処理のあり方について検討することを目的とする。 |
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医療廃棄物の自治体への積極的対応 |
一般廃棄物処理については、現状は、自治体の義務となっており、また権限も集中している。これは平成12年以降、地方分権と共にその傾向は益々強くなったといえる。一方、地域による格差、廃棄物処理法関連の法的規程の解釈の違い、条例の格差も広がっている。特に感染性廃棄物、在宅医療廃棄物といった、医療系廃棄物については、大きくその影響を受けている。このような現状に鑑み、医療系廃棄物に対して、自治体がいかに対応してくれるかは、重要な要因となっている。廃棄物処理法第5条の二、第六条では、本来は、都道府県、市町村は、一般廃棄物処理計画を定めなければならず、またその計画に従って、生活に支障が生じない内に、収集し、運搬、処分しなければならないと法律として規定されている。在宅医療は、家庭から排出されるので、明らかに一般廃棄物である。また医療関係機関等から排出される医療系廃棄物のほとんどは、感染性一般廃棄物、すなわち特別管理一般廃棄物である。ここでは、在宅医療廃棄物は、感染性廃棄物でも、医療系廃棄物でもなく、一般廃棄物であり、また別途研究項目があるが、共通点については、同様の解釈で扱う。
本研究の目的としては、これらの一般廃棄物に対して、自治体が積極的に対応できない要因を探し、その解決を図ることにある。医療系廃棄物を受け入れている場合も少数あり、これらのヒアリングは当然のことながら、全く処理計画で触れていない場合が多い。それどころか条例で、「排出禁止物」、「危険廃棄物」等と拒否を明文化している場合もある。これらの法的解釈も含め、従来まで触れられていなかった都道府県、市町村での医療系廃棄物の扱いの現状を知るともに、本来のあるべき姿に移行するための要因を研究したい。
医療系廃棄物に自治体の積極的対応以前の配慮があれば、各地で起きている紙おむつの処分等の問題もすべからく解決されると思われる。特に在宅医療廃棄物で問題となるインスリン自己注射の使用後の注射針について、自治体は、針刺し事故等の発生を拒否する大きな理由としていると聞く。これらのエビデンスも自治体の調査までが可能であれば調査したい。一部自治体では、焼却炉等の中間処理法での技術的問題をできない理由としているところもある、これらも既存データにより調査が可能であれば行うべきと考える。 |
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ワクチン類等に含有される水銀化合物の分別廃棄の実態
および適正な廃棄情報とその提供の在り方に関する研究 |
医療機関では、診療活動の一環として、また、保健活動の一環として各種ワクチン類等の接種を行っている。ここで使用されるワクチン類等は生物由来医薬品であることから、長期保存を目的として防腐剤が使用されている。ここで使用される防腐剤としては、チメロサールが想定されるが、一般に医療現場では防腐剤の種類や濃度はあまり知られていない。これらのワクチン類等を廃棄する場合は、防腐剤の種類によっては、水銀含有廃棄物として処理しなければならない。
今回、医療機関におけるワクチン類等の廃棄の実態、廃棄に関する医薬品情報の評価、製薬企業の考えなどを調査し、ワクチン類等の適正な廃棄のあり方について検討する。 |
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